Paperback Lovers

ミステリーと現代小説のペーパーバックの読書録。2005年7月以降、一年25冊ペースで読み続けている。

The Inner Circle, T.C. Boyle

 セックスをあえてエロチックでないようにアカデミックに描く、というのはある意味野心的な試みだし、性というものに真正面から対峙してそれを下品でない小説に仕立て上げるというのはかなりの力量を要するはずである。分類にやや迷うが、物語の中心人物であるAlfred Kinsey博士は実在の人物なので、あえて「歴史」に分けた。ただし、冒頭で作者が述べているように、その他の登場人物は架空の人々らしい。
 日本では未訳のようである。まだ120P程度しか読んでいないため、まだ予断を許さないが、テーマ的にも内容的にも、また小説としても、日本に紹介されていてもいい気がする。

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  1. 2009/11/15(日) 21:42:46|
  2. 現代文学・歴史
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Murphy's Law, Colin Bateman(2)

 出来の悪いアクションミステリー、といっても罰はあたるまい。見せ場をあれこれ用意しようとしている割には展開が悪くてもたもたする。アクションシーンの描写が混乱して誰が誰をどうしているのかよくわからない。Fujimoto Kawaisaraという妙な名前の日本人ギャングが登場するが、この男、どうもFujimotoがファーストネームらしく、Fuji、と呼ばれている。あるいは、銀行強盗段の間では、Han、Chinkとも称されている。前者は意味合いがよくわからない。後者は中国民族の蔑称かと思っていたら日本人にも使われるのだろうか(要するに、このあたりにも作者のいいかげんさ、無神経さが透けて見えるのである)。
 多分映画かドラマの原作として書かれたものだと思うが、私だったらこのストーリーを原作にした映像など金をもらっても見たくない。2.0。

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  1. 2009/11/09(月) 00:21:20|
  2. ミステリー・刑事
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Murphy's Law, Colin Bateman

 タイトルを見た瞬間に「マーフィーの法則」と間違いそうだが、これはMurphyという刑事が主人公の犯罪小説である。作者の名前を検索するといくつかの本と映画の原作が出てくる。うち一冊は和訳もされているようだが、本作に関する記述はあまりない(日本語では皆無)。
 Murphyの基本的な設定は、腕がいいのに仕事にも家庭でも恵まれない時代遅れの一匹狼的刑事であるが、酒に酔って元妻の家に押しかけて暴れたり、無関係の一般人に絡んだりと、実に格好が悪い。その一方で音楽はプロ級の腕前だったり、唐突にすばらしい洞察力を披露してホームズ張りの推測をして格好つけてみたりする。普通のミステリーでは誇り高き刑事が不遇な目にあってそれに読者は同情するのだが、この男の場合には自意識過剰なのがうっとうしいし、その行動を見ていると、不幸であるのが自業自得だと思えてしまう。どうしてこういう魅力に乏しいキャラクターをあえて主人公としたのか作者の意図がよくわからない。
 現在100Pを少し過ぎた。連続強盗犯と思われるギャング(表向きの商売は葬儀屋)の一味に、最後のチャンスとして潜入捜査を命ぜられたMurphyがようやく潜入を果たしたところ。

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  1. 2009/11/05(木) 23:54:30|
  2. ミステリー・刑事
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The World to Come, Dara Horn(3)

 数日前に読了。400Pの小説だが、約350Pのところで物語が唐突に終了する。その後は、作者が名づけるところの、World to comeの描写である。これは一種の天国であって、まだこの世に生まれてくる前の子供たちが天使として戯れ、この世から去っていった人々が彼らに現世で生活するための教育を授けている場所である。
 そうすると、「現世」の部分の最後に記されたHe opened the door and entered the world to come. というのは、結局Benが死んだことを意味しているのだろうか。ではなぜ、Benはこれから生まれてくるSaraの息子Danielの前に登場しないのだろう?あの世の描写が終わった後で、最低でもBenとEricaがどうなって、盗まれたシャガールの絵はどのような運命をたどったのかが描かれるのだと思っていたら、そのまま小説が終了してしまった。あの世で過ごす途中でDanielが両親の写真を眼にする機会があるが、そのうちの一枚にはBenが写っている。これは何を意味するのだろうか?
 もしかしたらそれが作者の意図かも知れないが、一見ばらばらに並べられた物語が不思議な均整を保っているような感じがする。3.5。

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  1. 2009/11/02(月) 23:44:02|
  2. 現代文学・一般
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The World to Come, Dara Horn(2)

 280Pまで。主人公である(シャガールの絵を盗んだ)Benの若い頃や、その双生児妹であるSaraの子供の頃の話、彼らの父や母の物語が、それぞれ違った視点から語られる。チャプターごとに主人公が入れ替わる手法は、実験的だがこの小説では成功しているように思える。
 最初の頃に登場したシャガールの背後に同僚として端役で登場した人物が、チャプターが移ると今度は主役として再登場する。前者で戦争孤児だった教え子(彼の血族がBenとSaraの母となる)の視点から語られたシャガールと、後から同僚である不遇の芸術家の目から見た画家の落差が、残酷なほど激しい。その1920年代のロシアの時代から、現代に至るまで連綿と続くささやかな人の営みが、シャガールの習作のみを一本の縦糸としてつなぎ合わされている。
 前にも書いたが、この作者がイメージしているこのシャガールの絵がどんなものであったのか、とても気になる。

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  1. 2009/10/26(月) 23:12:59|
  2. 現代文学・一般
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The World to Come, Dara Horn

 インターネットで検索すると、あるサイトで「ミステリー」と分類されていた。70Pほど読んだ限りではそんな雰囲気は全くない。孤独な中年男がたまたま訪れたギャラリーで、昔、自宅に飾られていたはずの小さなシャガールの絵を発作的に盗むのが犯罪といえば犯罪ではあるが。
 途中で画面が切り替わって、彼の家族がその絵を所有するようになった経緯が語られる。この小説の登場人物のほとんどがユダヤ人であるが、彼自身もユダヤ人だったシャガールが登場する(実は、彼がロシアの出身であったことをこの本で初めて知った)。登場するシャガールには「妻と娘」がいて、近いうち「モスクワの劇場のための装飾」を制作することに触れられているから、1920年のことだと思われる。
 シャガールといえば思い出すのはランス大聖堂のブルーのステンドグラス。あの美しさには震えた。この小説に出てくる絵は、下書きとして製作されたモノトーンに近い絵のようだが、どんな感じなのだろうか。残念ながら表紙にはその絵が登場しない。

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  1. 2009/10/19(月) 23:10:44|
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The Devil Went Down to Austin, Rick Riordan(3)

 読了。途中でなんとなく犯人の目星がついてしまうところがあるが、ペーパーバックのミステリーとしては高水準の作品。主人公のTresがクールでストイックなのも好み。主人公が妙に目立ちたがったり、必要以上にアグレッシブだったりするとかえって興ざめする。南部の男というのはこういうものであろうか。この作者と混同していたJames Lee Burke の小説に出てくるRobicheauxも同じ種類の哀愁を秘めたいい味を持っている。
 主人公の兄であるプログラマーが、事業に失敗した上に、ビジネスパートナーを何者かに殺害され、その容疑をかけられる。前から彼らの事業を買収しようとしていたベンチャー・キャピタリストはこれにより安値で買い叩くことができて大もうけをするわけであるが、この男が物語の冒頭から、いかにも怪しい雰囲気を出しているために、かえって真犯人はたぶん他にいるのだろうな、という推測ができてしまう。
 話は逸れるが、主人公はPIである傍ら文学に関して大学の講師を務めたりする。何度も講義のシーンが出てくるので、そのうちに何か本筋に影響するのかと思ったら、とうとう最後まで何の関係もない。一種の楽屋オチであろうか?4.0

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  1. 2009/10/16(金) 23:20:26|
  2. ミステリー・PI
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The Devil Went Down to Austin, Rick Riordan(2)

 200P前後。インターネットでこの本のことを調べていて、作者をJames Lee Burkeと混同していたのがわかる。覚えていた写真とずいぶん違うのでおかしいと思った。この作者は本職が教師らしいが、完全なフィクションでこれだけリアルなストーリーが書けるとはすごい。
 前に読んだWidower's Two Stepで登場したキャラクターがいくつか登場する。シリーズもので他にも出ているようなので、今度書店にいったら探してみたい。

 週末にBlue Parrotで6冊本を仕入れる。これで今年中は保つはず。

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  1. 2009/10/12(月) 23:22:42|
  2. ミステリー・PI
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The Devil Went Down to Austin, Rick Riordan

 The Spectacle of the Bodyはついに断念。とても読み通せそうにない。普通だったら断念した本はしばらく手元に置いておいて再チャレンジを一度は試みるが、この本はその気すら起こさせない完敗。近々古本屋へ行くつもりなので、その際に処分することにする。
 代わりに手にしたのが本作である。この作家は何作か過去に読んでいるので、途中で投げ出すことはない。特別好きな作家というわけではないが、いかにもアメリカ南部的な味があって、それが気に入っている。まだ30P 程度。

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  1. 2009/10/08(木) 23:57:13|
  2. ミステリー・PI
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The Spectacle of the Body, Noy Holland

 Goodreadsサイト(http://www.goodreads.com/)で、Garett'sという人物が、“Noy Holland is a master of poetic prose and narrative voice. Dark songs of loss and longing, strange tenderness in a new kind of American Gothic. Terrible beauty, dreamlike movement.”という最上級の賛辞を呈している。高い評価を他に複数の人が与えているから、この評は特段奇異なものではないと考えられる。日本語では記事がヒットしないのは、翻訳されていないのだろうか。
 ある種の短編集であるが、私にとってはほとんど小説としての意味を持たない詩的な表現が延々と続く。例えば、"There is a yellow house I know set back from a road I know. There is a well there."という文章は、文字通りの理解はできるが、それに何か深い意味があるのだろうか。それよりも、果たしてこの文章は美しいといえるのだろうか。
 200P前後の本で、現在30Pほど読んだが、ほとんど何も理解できない。果たして、これを最後まで読み通す意味があるか?

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  1. 2009/10/05(月) 23:38:48|
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